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2024年1月18日、サステナビリティ・サプライチェーン評価世界大手のEcoVadisは、韓国貿易投資促進庁(KOTRA)および韓国生産性本部(KPC)と提携を締結したことを発表しました。
今回の締結の理由についてKOTRAは、「EcoVadis評価が韓国輸出業者のグローバルパートナーに広く信頼されているから」と説明。そこで本日のお知らせでは、「EcoVadisの概要」や「締結の背景」「締結による影響」などについてご案内いたします。
=====本お知らせのポイント=====
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そもそもEcoVadisとは、主にバイヤー企業向けにサプライヤー企業の評価サービスを展開している企業。「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な資材調達」の4分野で、サプライヤー企業のCSR方針や施策、業績を評価しています。この評価は世界180ヶ国で活用されており、これまでに125,000社以上が評価の対象となりました。
対象企業は0~100点で採点され、スコアによってメダルが付与されます。評価基準は定期的に見直され、2024年版ではスコア上位1%にプラチナ、上位5%にゴールド、上位15%にシルバー、上位35%にブロンズのメダルが付与されました。
※EcoVadisについて詳しく理解したい方は、こちらのコラムをご覧ください。
そんなEcoVadisは今回、韓国貿易投資促進庁(KOTRA)および韓国生産性本部(KPC)との連携を発表。企業によるEcoVadisの理解促進や、韓国での使用最適化を目的に取り組みが進められます。メインとなるのは、韓国企業向けにカスタマイズされたガイドの開発。他にも韓国語訳の改良や、KOTRA、KPC、EcoVadisによる共同ワークショップなどの実施も予定されています。
ちなみに今回の提携で特に重きを置かれているのは、自動車・エレクトロニクス・半導体・ITセクター。これらのセクターにおける中小企業のEcoVadis 評価獲得を支援する計画も進んでいます。
提携の背景にあるのは、米国や欧州連合(EU)など韓国の主要輸出先でのESG開示要件の高まり。特に海外への輸出に大きく依存している韓国のような国にとって、このような状況の変化は重要になります。特にEUでは、2023年12月に企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)が暫定合意したという状況も。これによりパートナー企業のESGリスク管理が義務付けられたため、韓国でも「EcoVadis評価獲得」のニーズが増加することが予想されます。
今回の提携についてEcoVadisは、「韓国の中小企業の ESG 競争力を強化するための極めて重要な出発点とみなされる」と言及。今後ESG評価獲得企業が増えれば、ESG競争力の低い企業における取引中止などのリスクは高くなることが予想でしょう。
これまでESG対応のメインとされてきたのは、上場企業。ただEcoVadisにおいては、非上場企業も評価対象に含まれます。実際アストラゼネカ社のように、EcoVadisの評価を受けることをサプライヤーの最低水準の1つとしている企業も。世界全体でサステナビリティへの注目度が上がっていることからも、今後同じような動きをする企業が増える可能性は大いに考えられます。
今回は韓国貿易におけるEcoVadisの連携と、それによる影響などについてご案内してきました。輸出競争力強化を目指し、新たな取り組みを始めた韓国。韓国と日本が競合する貿易分野では、「日本企業がESG競争力の低さから韓国企業に負ける」などという未来も現実になるかもしれません。そうした競争に出遅れないよう、まずは「自社がどんな対応なら可能か検討する」など、手の届く範囲からの対応をおすすめします。
ESGに関する包括的なノウハウを有する弊社では、EcoVadisをはじめFTSE、MSCIなどESGレーティング対応に関するコンサルティングサービスを提供しています。「取引先からEcoVadisの評価獲得を求められた…」「ESGレーティングに対応したいけれど、自社にリソースがない…」などお悩みの企業様は、ぜひ弊社までご連絡くださいませ。
<出典>
『韓国のエージェンシーがEcoVadisと戦略的提携を締結. (2024, January 15). EcoVadis.』
『企業の持続可能性デューデリジェンス: 環境と人権を保護するための議会と議会のストライキ協定. (2023, December 14). 欧州連合理事会.』
『アストラゼネカ持続可能性パートナーガイドおよびフレームワーク.アストラゼネカ』
CDP回答やGHG排出量算定など、環境経営に関するコンサルティングサービスの営業本部長を務めています。