CDPを熟知したパートナーとだから実現した、自社の取り組みの答え合わせ

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日本初の物流REIT「日本ロジスティクスファンド投資法人」の資産運用会社である、三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社。投資法人が上場し順調に資産規模を伸ばす一方で、サステナビリティ対応においては投資法人だからこその課題があったと言います。同社はどのように課題を乗り越え、初めてのCDP回答を成功させたのでしょうか。財務企画部の村上様と、運用管理部の阿部様に伺いました。

きっかけは機関投資家のESG投資への関心

“三井物産ロジスティクス・パートナーズ様の事業とサステナビリティへの取り組みについて教えてください。”

あまり耳馴染みのない方が多いかもしれませんが、我々はREIT(不動産投資信託)と呼ばれる金融商品を扱う業界に所属しています。REITとは、投資家の方から集めた資金でオフィスビルやマンション、物流施設などの不動産を購入し、その賃貸収入や売却益を投資家に分配する商品のことで、不動産自体は投資法人が所有しています。ただ投資法人は従業員がいない“箱”としての組織体のため、我々のような資産運用会社が委託を受けて実際の物件管理やIR活動などを担っているという仕組みです。その中で我々は主に物流施設を投資対象としている日本ロジスティクスファンド投資法人の資産運用会社であり、2024年10月末時点で52物件を運用しています。物流REITとして日本で最初に上場したため首都圏の好立地な物流施設への投資割合も高く、現時点での資産規模は2,893億円となっています。

そんな当社では2013年頃より、不動産会社・ファンドの環境・社会・ガバナンス(ESG)配慮を測るベンチマーク評価であるGRESBリアルエステイト評価の回答に参加。2017年頃からスコア向上に注力するようになりました。その理由として、2017年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資を開始したことをきっかけに、機関投資家がESG投資に注目し始めたことがあげられます。GPIFは国民の年金を運用する世界最大規模の投資家であり、世界中の機関投資家が投資動向に注目しています。GPIFのESG投資開始のニュースはREITの投資家にも影響を与え、日本ロジスティクスファンド投資法人の投資家からもESGの取り組み状況についての質問を受ける機会が一気に増えました。投資家に対して適切なESGの取り組みを実施していることをアピールするため、まずは多くの機関投資家がEGSに関する取り組みの進捗を測る尺度として採用している外部評価である、GRESBリアルエステイト評価に注力し、次いでMSCI ESG格付の向上にも力を入れ始めました。その後徐々に業界全体でもイニシアチブへ賛同する企業が増加、当社としても取り組みの深化を企図して、2021年に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」への賛同を表明しました。

当社の場合、サステナビリティ領域の中でも脱炭素に関する具体的な対応については、他の業界や他の不動産アセットタイプ(投資対象のこと。例:オフィスビルや商業施設など)と比べると取り組みやすかった印象があります。たとえば物流施設内の照明をLED化したり、空調機器を省エネ性能が高いものに切り替えたり。ただ一方でそういった取り組みに関する数値を集計していくのは、とても大変です。実は当社にはESGの専門部署はなく、一部メンバーが別業務と兼任して対応している状況。そのため限りあるリソースでいかに効率良く対応するか、という課題がありました。

同業他社からの口コミが、外部活用の決め手

“どのような理由から、支援企業としてエスプールブルードットグリーンを選ばれたのでしょうか。”

当社がCDPに回答したのは、2024年が初めてです。2023年に同業他社で回答した企業が増えたことや、CDPに回答すれば今までとは異なる視点でサステナビリティ対応を進められるのではないかという意見もあり、回答することになりました。

我々の業界は狭いため、同業他社と情報交換をする機会が多くあります。その中で先行して取り組んでいる他社からCDP回答について、「情報を文章化したり定義づけを考えたりするのが結構難しい」「少なくとも初回答はコンサルティングを活用するのがおすすめ」とアドバイスをもらっていたので、外部支援を活用することを検討していました。

三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社様 インタビュー中画像1
三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社
財務企画部 村上様

依頼先を検討する過程では、初回答ということもありCDPの質問を理解することを重視していたため、手厚いサポートメニューを展開している会社様を探していました。だからこそエスプールブルードットグリーンに提案いただいた、当社の情報をすくい上げた上で回答草案を作成してもらえるサポートメニューはとても魅力的で。加えて実際に活用した同業他社から「毎月のミーティングの中で自社の取り組みを丁寧にヒアリングして反映してくれて、とても良かった」という口コミも聞き、エスプールブルードットグリーンに依頼することを決めました。

独特な質問や曖昧な定義も、支援を通してクリアに

“エスプールブルードットグリーンを活用しながらCDP質問書に回答してみて、いかがでしたか。”

回答案のベースをゼロから作っていただけるという点が、やはり大きな助けになったと感じます。特に2024年は、GRESB回答が終わってからすぐにCDP回答に取り掛からなければならないスケジュール感でしたから、リソースの限られている当社が自分たちだけで対応するのはほぼ不可能だったと言えます。そして回答にはかなりの労力がかかることも分かりました。

また初めてCDPに回答してみて、いくらGRESBリアルエステイト評価やMSCI ESG格付に対応した経験があるとは言え、CDPの独特な質問を読み解くのには時間がかかるという気づきもありました。質問書は英語を機械的に和訳したような文章で記載されている上に、言葉の定義も曖昧です。そのため回答するにはまず、質問が意図している定義に我々の認識を合わせにいく作業が必要で、そこに大変苦労しました。ただエスプールブルードットグリーンの支援では、「この質問ってこういうこと?」といった我々の疑問を一つひとつしっかり解消していただき、その上で「こう回答した方が質問の意図に沿っている」といったアドバイスもいただけました。

一方でCDP回答を通して、これまでのGRESBリアルエステイト評価への回答で蓄積してきたデータがあるものの、より取り組みを前に進める上で必要なポイントも見えてきました。サポートを通じてフィードバックもいただけたので、今後検討できればと考えています。

CDP回答が、これまでの取り組みの答え合わせに

“サービス導入の成果と、その後の波及効果についてはどうお考えですか。”

三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社様 インタビュー中画像2
三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社
運用管理部 阿部様

2024年が初回答のため、まだスコアが出ていない状況ではありますが(取材は2024年11月)、模擬採点のサービスで出していただいた予想スコアは想定より高く、驚いています。まずは質問を理解して我々の取り組みをしっかり開示することを目的としていましたが、回答を通してこれまでのサステナビリティに関する取り組みはCDP評価の上でも良い影響をもたらすことが分かり、大きな収穫となりました。

また模擬採点の結果は「何が評価につながっているのか」「どんな理由で評価を落としているのか」などの詳細とあわせて、社内にも共有しました。「これまでの取り組みが適切であったことを確認できて良かった」といったコメントが上がっています。

「どこまで資産運用に組み込めるか」が今後のポイント

“最後に、今後の取り組みについてお聞かせください。”

当社及び当投資法人では、サステナビリティ経営方針を定めて、それを基にKPIを設定。加えてESGは全役職員が意識して取り組むという考えのもと、設定したKPIの達成状況が全役職員の評価に反映されています。サステナビリティ経営方針やKPIは毎年見直しを行っていますが、ESGへの取り組みは幅広くトレンドの変化も大きいことから、「何に注力すべきか」という迷いもあるのが正直なところです。そのため今後もCDPをはじめとした周辺情報もしっかりキャッチアップすることで、時代に沿ったサステナビリティ対応を資産運用に組み込んでいけるようにしたいと考えています。

加えてCDP質問書は世界共通だからこそ、海外の投資家に対してもしっかり説明できるという側面も。通常業務の中で海外投資家と議論する機会もありますが、やはり欧州の投資家はサステナビリティ意識が高いです。我々の取り組みがどう見られているか確認される方もいらっしゃるので、CDP回答を通して得られた知見のもと会話ができることは「きちんと取り組んで進捗している」といった評価につながると認識しています。

サステナビリティ対応は自社が中長期的に経営していくために必要なことだと思うので、バランス感覚をもって対応していく予定です。特に我々の業界は狭いので、情報交換をしつつ対応を進めていきたいと考えています。

[企業紹介]
日本ロジスティクスファンド投資法人
https://8967.jp/

三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社
(日本ロジスティクスファンド投資法人の資産運用会社)
https://www.m-lp.net/

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