サステナ初心者が頼れる専門家と歩んだ“ゼロ”からの軌跡

CDP TNFD
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通信キャリア事業を中心に、半世紀以上にわたり事業を展開するエクシオグループ。ESGを企業経営の根幹に位置づけ環境負荷軽減にも積極的に取り組まれている一方で、情報開示においては課題も多かったと言います。そんな同社はどのような道筋を辿り、サステナビリティ推進室の発足からTNFDの開示まで漕ぎつけたのでしょうか。サステナビリティ推進室のお三方に伺いました。

求められる開示に応えるべく、初心者2名だけで対応をスタート

“エクシオグループ様の事業とサステナビリティへの取り組みについて教えてください。”

当社グループでは、大きく分けて“通信キャリア・都市インフラ・システムソリューション”の3つのセグメントで事業を展開しています。中でもコア事業となるのが、通信キャリア事業。長年の実績と技術力により質の高いサービスを提供しており、世界各国の選手が電気溶接や精密機器組立て、美容などの技能を競う技能五輪国際大会の情報ネットワーク施工職種で6度金メダルを獲得するなど、内外から高い評価を得ています。そのような当社グループで普遍的な使命としているのは、社会課題の解決です。再エネ関連の事業を展開していることもあり、環境への対応は旧来より意識的に取り組んできました。たとえば直近では都市インフラ事業において、年間約3万トンのCO₂削減効果が期待される木質バイオマス発電プラントの稼働を開始。こうした取り組みに加えて、2000年以降は環境マネジメントシステムに関する認証規格(ISO14001)も継続して取得しています。

一方で近年要求されているサステナビリティ対応という側面では、TCFDに基づく情報開示やGHG排出量の集計などが他社と比較して遅れており、大変な焦りを感じていました。こうした状況を打破すべく2022年4月にサステナビリティ推進室を設置し、わずか2名の少人数体制で何とかサステナビリティ対応を開始したのです。とはいえ、配属されたのはサステナビリティに関する知識がゼロのメンバー。当初は「何から手を付ければ良いのか分からない…」といった状況でした。それでもCDP質問書をはじめとして取引先などから膨大なアンケートが送られてきますし、100社以上もある連結子会社のGHG排出量も集計しなければいけません。発足当初はアンケート対応やGHG排出量の実績把握に追われる日々を過ごしていました。

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エクシオグループ株式会社
総務部 サステナビリティ推進室長
太田様

短期間での開示も柔軟な対応で叶えてくれた、頼れる専門家

“どのような理由から、支援企業としてエスプールブルードットグリーンを選ばれたのでしょうか。”

我々が外部パートナーに求めていたのは、“専門性”と“柔軟な対応”です。まず専門性について、当時のサステナビリティ推進室は少人数かつ素人だったゆえ、目の前の課題に対処するには外部専門家の力が必要不可欠でした。加えてサステナビリティ領域は動きが大変早く、キャッチアップするのに苦労していたのです。そんな中、当時CDPスコアリングパートナーだったエスプールブルードットグリーンと出会い、その専門性に期待して手取り足取りサポートいただこうと活用を決めました。

2022年からの複数回に及ぶ支援を経て感じるのは、我々にとってエスプールブルードットグリーンは“頼れる専門家”であるということ。コンサルタント一人ひとりが専門的な知識を持っていますし、世の中の動きに対するアンテナも高いです。だからこそ心強く、安心して任せられています。特にCDP質問書については、豊富なノウハウや支援実績をお持ちです。そのため回答後にはメソドロジーのもとスコアを予想し、次年度に向けた提案もしてもらえます。こうしたコンサルタントならではの支援には大変助けられていて、毎年回答時期が来るたびに「エスプールブルードットグリーンに出会えて良かった」と心から思っています。

次に柔軟な対応について、TCFD開示はもともと他のコンサルティング会社への依頼を考えていました。ただ我々が希望していたのは短期間での開示。他社からは「希望時期には間に合わない」と言われていたところ、エスプールブルードットグリーンは我々の稼働は一切かけずに希望時期に開示できるとのことだったので、TCFD開示支援もお願いしたのです。実際プロジェクト開始から3ヶ月後には開示案が完成し、希望時期に開示することができました。

加えてスケジュールの面では、2022年から継続して依頼しているCDP回答支援でも外部パートナーを活用するメリットを感じています。CDP質問書は回答期限があるので、計画的に進めることが大切です。エスプールブルードットグリーンはミーティングで使う資料を事前に送ってくれるので、確認作業や部内での議論も前もって進められ、大幅なスケジュール変更があった2024年のCDP質問書も無事期限内に回答することができました。

サステナビリティ対応を通して、社内体制も社内意識も大きく前進

“サービス導入の成果と、その後の波及効果についてはどうお考えですか。”

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エクシオグループ株式会社
総務部 サステナビリティ推進室
 課長代理
竹中様

大きな成果の1つとしてあげられるのは、社内体制の変化です。TCFD開示・CDP回答を通して、「各セクションで何をすべきか」「どんな情報をどこから収集すべきか」が明確になり、気候変動対応は全社で対応すべきという考え方の下地ができました。その結果、専任で対応するサステナビリティ推進室の人員の少なさも浮き彫りに。チームの人財確保にもつながり、全従業員向けのサステナビリティ研修や生物多様性への対応など社内の取り組みが大きく前進しました。

加えて外的な変化として、CDP質問書における順調なスコアアップがあげられます。2021年「D」だったスコアは支援初年度で「B」にアップし、2023年には「A-」まで引き上げることができました。サプライチェーンからのCDP回答要請が年々増加している今、高スコアを獲得できていることは大きな成果です。取引先からも「気候変動への対応がしっかりできている企業だ」と認識してもらえていると感じます。またCDPのスコアアップによって、経営陣の意識も変化しました。たとえば全従業員向けの社長メッセージで「A-」の獲得に触れられたり、決算説明会でサステナビリティ関連の話題が出たり、社内外にアピールすべきトピックとして認識され始めています。さらに最近では、「CDPスコアを見て新卒採用に応募した」という学生も。若い世代がサステナビリティの取り組みを企業選びの基準としていると耳にしたことはありましたが、実際に社内でその声を聞けたことはとても嬉しかったです。企業価値向上というと目に見えづらく評価も難しいですが、エスプールブルードットグリーンのおかげで成果は着実に出ていると感じます。

専門知識や詳細な調査に基づく明瞭な結果に、委員会委員の反応も上々

“新しく取り組み始めたTNFD開示については、どのようにお考えですか?”

取り組みの大きなきっかけとなったのは、2023年9月に発効されたTNFD最終ガイドライン。実は当社グループでは以前より投資家とのミーティングで生物多様性に関する話題が上がったり、取引先からのアンケートで自然関連の取り組みについて聞かれたりしていました。ただ当時は空白で提出することも多く、いずれは回答できるように対応を進めなければと考えていたのです。

そんな時にTNFD最終ガイドラインが公表され、日本でも環境省より開示を促進していく意向が示されました。こうした流れを受け、まずは当社グループでも可能な範囲から自然資本への依存・影響について特定していく必要があると考え、TNFD開示に取り組むことを決定したのです。とはいえTNFDを開示するには、専門的な知識やツールの活用、詳細な調査が必要不可欠。そのため我々にとって頼れる専門家である、エスプールブルードットグリーンにサポートをお願いしました。

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エクシオグループ株式会社
総務部 サステナビリティ推進室

榎本様

支援いただいたコンサルタントは生物多様性においても知識が豊富で、具体的なアウトプットイメージとともに「いつまでに何をするか」を明確に示してくれたので、希望のタイミングで開示することができました。今回のTNFD開示にあたって特に印象的だったのは、サステナビリティ委員会委員の反応が良かったこと。LEAPアプローチで特定した要注意地域に該当する拠点や指標ごとの分析結果を共有した際、「事業を進める上で注意すべきことがよく分かった」「生物多様性を含めたサステナビリティ対応により企業価値が向上するという認識を持って引き続き進めたい」といった嬉しい言葉をもらいました。

サステナビリティ対応を進めるには、委員を含めた社内理解の促進がとても重要です。ただ生物多様性は特に専門的な分野であるため、課題をどう説明するかについては多くの企業が悩んでいると思います。その点エスプールブルードットグリーンの支援では、委員を納得させられる詳細な分析データと明瞭な結果を分かりやすく示していただけました。委員の反応が良かったのは、そのようなサポートがあったからこそだと思います。

Scope3やダブルマテリアリティなど、視野の拡大が今後のカギ

“最後に、今後の取り組みについてお聞かせください。”

まず推進していきたい取り組みの1つとして、削減貢献量の算定・開示があります。これは企業が社会の排出削減にどれだけ貢献したかという“貢献量”を算定し、企業価値に盛り込む考え方です。今後排出削減は当たり前となり、気候変動に対する企業の課題解決力を示す必要が出てくるでしょう。当社グループでは再生可能エネルギー事業を展開していますから、削減貢献量を示せれば社員のモチベーションや開発意欲、サプライチェーンとの建設的な対話などにつながると考えます。削減貢献量の開示が多くの企業に広がり企業価値向上につながれば、脱炭素社会の早期実現も叶うはずです。

加えて生物多様性への対応も、推進していきたい取り組みの1つ。先にお話ししたように、我々は2024年の統合報告書をもって初めてTNFDに基づく開示を実施しました。今後は自然関連のリスク・機会の特定・評価まで実施できるよう、手を広げていく予定です。また当社グループでは、海洋および沿岸の生態系への悪影響を回避するアースシャトル工法を展開しています。自然に関する情報開示と共にこうした技術開発にも積極的に取り組みながら、より多くの生物多様性保護に貢献したいと考えているところです。

現在は日本でも、世界共通のサステナビリティ開示基準の日本版(SSBJ)策定が進むなどサステナビリティ関連の動きが大きくなってきました。対応を進めるにつれて人手が足りなくなることもあるかもしれません。その際には“頼れる専門家”に協力してもらいながら、当社グループのサステナビリティ対応を前進させていきたいと考えています。

[企業紹介]
エクシオグループ株式会社:https://www.exeo.co.jp

公式Youtube:https://www.youtube.com/channel/UC6GLfj5BDPEHUvW1Zeehv_Q

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