【2025年改正】クリーンウッド法とは?改正のポイントや罰則について知っておくべきこと

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【2025年改正】クリーンウッド法とは?改正のポイントや罰則について知っておくべきこと

世界全体で伐採される木材のうち、15%~30%が違法伐採であるとされており、木材業界の持続可能性の向上に向けた大きな課題となっていることをご存じでしょうか。

違法伐採を減らすことはSDGsの、

  • 12 作る責任、使う責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を
  • 15 陸の豊かさも守ろう
  • 16 平和と公正をすべての人に

などと関連しています。今回は、日本における違法伐採対策の取り組みであるクリーンウッド法を紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

クリーンウッド法とは

クリーンウッド法(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)は、合法的に伐採された木材を積極的に利用してもらう仕組みを作ることで、間接的に森林や地球環境を守ることを目的として、2017年に施行されました。この法律のポイントは、木材関連事業者が安心して合法伐採木材を取引・活用できるよう、流通や取引の段階でしっかりとサポートすること。木材産業の持続可能な発展を支えながら、地球全体の環境保全に貢献することを意図しています。

【2025年4月施行】改正クリーンウッド法について

クリーンウッド法は2025年4月に改正法案の施行が予定されています。川上・水際の木材関連事業者による合法性の確認、素材生産販売事業者による情報提供の義務化や、小売業者が対象の事業者に含まれるようになります。

改正クリーンウッド法の改正ポイント
出典:合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律の概要. 林野庁を基に弊社作成

現行制度では、事業者に合法伐採木材の利用を罰則のない努力義務として課し、合法性を確実に確認する木材関連事業者を第三者機関が登録する仕組みを通じて、合法伐採木材の流通や利用を促進してきました。
しかし、登録事業者による合法伐採木材の確認量が国内の木材需要の約4割にとどまっている現状が課題に。また、G7やAPECの林業担当大臣会合で、違法伐採根絶に向けた取り組みが国際的課題として議論されており、さらなる取り組み強化の必要性が求められていました。そうした背景もあり、2023年に開催された第211回国会にて改正法案が成立し、同年5月に公布されました。

合法伐採木材とは

クリーンウッド法では合法的に伐採された木材を積極的に利用することが推奨されています。合法伐採木材とは、日本や原産国(木材が伐採された国)の法令に適合して伐採された樹木を原料とした木材、製材・加工製品のことです。こうした木材の合法性を確認するには、伐採届や証明書といった書類の収集が必要です。さらに、確認が難しい場合には追加の調査や管理体制の強化が求められます。木材取引では、合法性を証明する書類を取引先に提供することが義務付けられており、木材の伐採方法が違法なものでないか確認されています。

合法性の確認方法

木材の合法性の確認方法は「川上の事業者(第一種木材関連事業)」と「川下の事業者(第二種木材関連事業)」で異なります。第一種事業者は、木材の所有者や輸出者から伐採地や樹木の種類を含めた合法性を証明する書類を受け取り、確認を実施。もし合法性が確認できない場合には、原産国の情報を集めるなど追加の措置が求められます。それでも確認できない場合は、「確認できなかったもの」として流通させることが可能です。一方、第二種事業者は、納品書など購入先から提供された書類を基に確認を行いますが、確認できなかった場合でも追加の対応は必要ありません。

木材関連事業者が取り扱う木材等の合法性確認やその他の必要な措置を確実に実施している場合、国に登録された第三者機関である登録実施機関に登録の申請が可能です。登録が認められれば、「登録木材関連事業者」として、取引先や消費者に対してその信頼性を示すことができます。

対象製品

クリーンウッド法の対象となり、合法性の確認を行う木材とは、「木材」および「木材を加工し、または主な原料として製造した家具、紙等」です。具体的には以下の通りです。

クリーンウッド法の対象となる製品
出典:木材関連事業者の方へ クリーンウッド法に基づく事業者登録のすすめ. 林野庁を基に弊社作成

どのような業界の企業が対応する必要がある?

クリーンウッド法に基づき合法性の確認を行う木材関連事業者には、木材の加工や流通に関わるすべての事業者が含まれます。国産材の場合、最初に森林から伐採された丸太を購入し、製材や合板、チップなどへの加工を行う事業者から始まり、これらの事業者から半製品を購入し、集成材やペレットの製造・加工を行う事業者、さらにはバイオマス発電を行う事業者など、幅広い業種が対象に。最終的には、家具や紙の製造、また木材を使用する建設業者や工務店も含まれます。輸入材の場合は、丸太や木材製品、家具などを輸入する事業者からこの流れが始まります。

木材関連事業者の範囲
出典:合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律の概要. 林野庁 / 「世界と日本の森林を守るために。取り扱う木材の合法性の確認が必要です。」. 林野庁 / 木材関連事業者の方へ クリーンウッド法に基づく事業者登録のすすめ. 林野庁を基に弊社作成

罰則について

現行制度では、事業者に合法伐採木材の利用を求める努力義務でした。しかし、2025年4月の改正法では、川上・水際の木材関連事業者による合法性の確認、素材生産販売事業者による情報提供の義務化となり、指導助言・勧告・公表・命令の段階を経た上で、罰則に至った場合には100万円以下の罰金が科されます。事業者の行動変容を促すことによって間接的に違反の是正を促す目的で罰則が導入されるとされています。

まとめ

クリーンウッド法は合法的に伐採された木材の利用を促進することで違法伐採を減らし、森林や地球環境を守ることを目指しています。2025年4月の改正により、違反した場合には罰則が科されることとなりましたが、依然として関連事業者の自主的な行動を期待するものとなっています。

公共施設などでは合法伐採木材の利用が進められており、身近なところでも目にする機会が増えているようです。

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弊社は環境経営におけるパートナーとして、CDPやTCFDなど各枠組みに沿った情報開示や、GHG排出量の算定のご支援をさせていただいております。『専門知識がなく何から始めれば良いか分からない』『対応をしたいけれど、人手が足りない…』といったお悩みを持つ方がいらっしゃいましたら、弊社にお声がけいただけますと幸いです。

【監修者のプロフィール】

 CDP回答やGHG排出量算定など、環境経営に関するコンサルティングサービスの営業本部長を務めています。

< 出典 > 

合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律の概要. 林野庁(2024年11月参照)

「世界と日本の森林を守るために。取り扱う木材の合法性の確認が必要です。」. 林野庁(2024年11月参照)

木材関連事業者の方へ クリーンウッド法に基づく事業者登録のすすめ. 林野庁(2024年11月参照)

6月14日 改正クリーンウッド法の説明会 Q&A. 林野庁(2024年11月参照)

閣法 第211回国会 31 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案. 衆議院(2024年11月参照)

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