カーボンニュートラルへの取り組み方法について紹介

排出量算定・CFP
カーボンニュートラルへの取り組み方法について紹介

カーボンニュートラルへの取り組みが求められる背景

2015年にCOP21が開催され、2030年に2013年度比で温室効果ガスを26%削減するパリ協定が締結されました。

また、2020年の菅元総理が、日本は2030年にパリ協定を上回る46%の削減目標を掲げ、2050年にはカーボンニュートラルを実現するために官民一体となって突き進んでいくと宣言がありました。

これらの背景に伴って、政府のみならず企業の脱炭素化に向けた動きが強まってきています。

企業がカーボンニュートラルに取り組む方法とは

CDPやTCFD等の枠組みに基づいた環境情報開示

企業がカーボンニュートラルに取り組んでいるかを判断する指標として、CDPやTCFDなどといった、情報開示のためのフレームワークがあります。

CDPは企業がこれまでに行ってきた取組みの開示をすることができ、スコアが高いほど脱炭素の活動を推進していると言えますが、逆に低い場合だとその企業において脱炭素における不足部分が浮き彫りになるため、課題を可視化することができます。

その課題を解決しながら、未来に向けた取り組みを開示していくのがTCFDとなります。

省エネルギー(省エネ)の推進

自社で使用しているエネルギーのうち、余分に消費してしまっている部分が少なからずあります。

削減しなければならないホットスポットを効率的に省エネ推進していくためには、GHG排出量の算定を行う必要があります。

算定を行い、余分な箇所があれば代替できる製品に変更を行います。

具体的な例として、

  • 蛍光灯→LED灯への更新
  • 空調設備
  • ボイラー設備
  • 冷凍製造設備

などがあげられます。

再生可能エネルギーの利用

エネルギーの節約だけでなく、自社供給を行い、石炭火力由来の電気エネルギーを使用しないケースも考えられます。

供給する電気は、再生可能エネルギー由来のもので太陽光や風力などが挙げられます。

企業が再生可能エネルギー由来の発電を行う際は、

自社の敷地内に発電設備を設置するということが考えられます。

また契約している電力の切り替えで再生可能エネルギー由来のものもあるので、既存契約から新規で契約することも可能です。

ネガティブエミッション

ネガティブエミッションとは、大気中にある温室効果ガスを回収・貯留する技術のことを指します。

どうしても削減できない場合における対策の一環で、カーボンニュートラルに貢献することができ、近年注目を浴びています。

注目を浴びている技術の例として

  1. ダイレクト・エア・キャプチャ(DAC)
    大気中にある温室効果ガスを直接収集し、処理を加えて地中に埋める技術を指します。
  2. 炭素捕集貯留(CCS)
    工場や発電所等から排出される温室効果ガスを収集し、地中に埋める技術を指します。先程のDACと類似していますが、収集する場所が異なるのが特徴です。

また、地中に埋めていずれ地上に湧いて出てくるのではないかという意見もあるのですが、埋める際の地中は厳しい選定を行った上で、遮閉層という地層で覆うことになり、1,000年にわたって閉じ込めることが可能であるとIPCCも見解を出しています。

カーボン・オフセット

「オフセット」とは埋め合わせるという意味があり、削減できなかった分を他者の削減分で埋め合わせることを指します。

カーボンオフセットには手順があります。

カーボン・オフセット

ステップ1で現在の排出しているCO2量を計算し、Step2で可能な限りCO2排出量を削減していき、Step3で削減できなかった分として、温室効果ガス削減・吸収の取組へ資金提供(クレジット購入)を行うことで、「カーボンオフセットする」と呼ぶことができます。

カーボンニュートラルに取り組んでいる企業事例

カーボンニュートラルを達成するためには、政府だけでなく、企業にも取り組みが求められます。

現在、日本の企業で実際に取り組まれている事例について紹介します。

カーボンニュートラルに取り組んでいる企業事例
各社ホームページを参考に当社独自で作成(2022年7月時点)

カーボンニュートラル実現には各企業の取り組みが重要に

カーボンニュートラル実現のためには、今から政府・企業・消費者一丸となって取り組むことが必要となります。

しかし、カーボンニュートラルの実現のために自分たちが何をすればいいか、イメージが湧かない企業もいるため、なかなか重い腰が上がらないのも実状です。

経済産業省が出している資料によると、取り組みのイメージとしては2つのアプローチがあります。

まず一つ目に自分たちの事業に対して気候変動が与える影響がどういったものなのか、リスクがあるのか、それともチャンスがあるのかを踏まえた上で、リスクの軽減策、チャンスの増加策を講じていく方法です。

カーボンニュートラルがいかにも義務のように感じられるかもしれませんが、ビジネスにおいては、ある意味、経営に革新をもたらすことのできる大きな転換ポイントとしても捉えられます。

気候変動をきっかけに脱炭素経営を早期に実現することが、企業価値や投資の魅力を高められ、競合他社に負けないビジネスパワーを維持することができると言えます。

そして二つ目は、自社の事業活動が排出しているGHG排出量(Scope1,2とScope3)の内訳に応じて、細かい対策を講じていく方法となります。

事業活動が直接排出しているものと、間接的に排出しているものを可視化することで、どの部分が多くの排出をしてしまっているか明確にすることができます。

それによって、細かいセグメントで対策を打つことができるため、コストを一点集中して企業のカーボンニュートラルへと繋げられます。

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